あれはわしがまだうら若き乙女だったころじゃ
恐らく1年間ほどだったと思うのですが、男性を嫌悪していた時代がありました。
態度にこそ出さなかったつもりですが、父や弟にさえ少し負の感情を抱き、その期間中に妹が家にお迎えしてきたわんこの性別がオスと聞けばげんなりしてため息が出てしまうほどでした。
そのころニュースでタクシー運転手の男性が男根を切られた状態で見つかった事件があったのですが、
これ犯人女の人だろうな。
気持ちわかるわ。
と思うほど過激思想家でした。 ※結局その事件は男性がご自身でやったという結末だったかと思います。
そうなった原因
そのとき数ヶ月だけ付き合った彼です。
わたしはうら若き乙女でしたし、彼は10歳以上年上でしたし、彼は器の大きい大人であるはずだと少女漫画の知識と彼の年齢だけを根拠に信じ切っていたのですよね。
今のわたしがあのころの彼と同じくらいの年齢ですが、30代中盤の男性であのころのわたしの想像ほどに成熟している人はいないと今ならわかります。
大人になったわたしの目に映る脳内にかすかに残る彼の残像は、虚栄心の塊です。
まず初対面で年齢詐称。付き合ってしばらくしてカミングアウトされたんだったと思います。あのころは何も気になりませんでしたが、今もし年齢詐称されたら、年齢云々ではなくて、その根性に嫌気がさすと思います。
あのころに連絡に使用していたツール、そこに使用している写真のまぁ盛られていること。それを笑い話にできるなら良いのですが、彼のスタンスはあくまで
え?普通に撮っただけだけど?
ってもう絶対ウソ!
奇跡の1枚レベルやん・・・(そしてその奇跡レベルの自撮り写真を何枚も持ってる
あのころは加工アプリの時代でもなかったので、今考えると何枚も何枚も自撮り頑張ったんだろうなぁ。構図からして頑張ってたやつやん… 普通に気づけよ当時の自分
得な体質だね!
じゃないよ全く・・・。
派遣時代に派遣先で評価されて給与が30万だった話や、どこかのクラブでDJやって盛り上げた話や、歯がクリスタルだからキレイだけど折れやすい(稀少らしい)話や、その折れやすい歯をやんちゃしてケンカで折ってしまった武勇伝や・・・ とにかくたくさんの過去の自慢話をされました。
過去の自慢話なのは当時の彼は無職引きこもりだったからです。
もう、怖い!
過去のわたしの男を見る目のなさが怖い!!
当然ですが、わたしの期待した大人男性像と実際の彼の違いはすぐに露呈しました。そして別れへ…
その別れがすんなりいかなくて、プレゼントした指輪を返せだの、詐欺師めオレの口座に指輪の代金振り込めだの、罵詈雑言を吐かれました。
一応書きますが、わたしはアクセサリーに興味がないので指輪はいらないと伝えていました。そこそこ遠距離でしたが、会いに行くのはいつもわたしで、交通費も自費でした。
すべてを棚にあげて、わたしだけが悪いように色々言われて脅迫めいたことも言われて、少女漫画の恋愛観しかなかったわたしは大撃沈しました。
そして極端な男性嫌いに陥りました。
どうやって克服したか
あのころ、夜にニコニコ動画の生配信を聞きながら仕事をするのが日課になっていました。
男性の声は苦手で特にタバコを吸う音が大嫌いだったので、基本的には不特定の女性配信者さんをつけることが多かったのですが、その日はなかなかちょうど良い人に巡り会えず、最終的にジブリ音楽を流しながらまったりトークしている松下さんという男性配信者さんにたどり着きました。
仕事のBGMに流す配信なので他に起きている人がいることを感じられながらも、うるさすぎず、画面を見なくても何が起きているかわかるようなものが良かったのですが、松下さんの配信がこれまでのどの配信よりもちょうど良くて、その日以降徐々に、仕事用のBGMとして使用するのは松下さんの配信だけになっていきました。
松下さんは当時資格浪人生で1日中勉強に励み、「話し方を忘れそう」という理由で夜にだけたまに配信される方でした。
コメントと会話する配信スタイルだったのですが、たまにコメントの治安が悪いときにも淡々とつっこみを入れる、挑発に乗って激情などしない落ち着いた方でした。
そんな配信を数ヶ月見続けたら、極端な男性嫌い期を抜けていました。
いったいどういうわけなのかは当の本人にもわかりません。
良くも悪くも些細なきっかけから人生は様々なことが起こるものですね。
コメント